Orthanc DICOMサーバー(PACS)の導入

Orthancは、展開してダブルクリックするだけで稼働するフリーのDICOMサーバー(PACS)です。

フリーのDICOMサーバーではいちばん有名どころですとdicom4cheeですが、こちらよりも実に簡単でした。
日本では(特にMac環境では)情報が少ないようなので、ご紹介したいと思います。

OrthancHoros(またはOsirix)を組み合わせることで、廉価でMacでのDICOMサーバー(PACS)環境を構築することができます。

Horos(またはOsirix)の標準DB(SQLite)でも3台ぐらいまでは耐えられるかとは思いますが、複数クライアントからのQuery/RetrieveやCTなど1000枚を超えるDICOM画像を開く際にパフォーマンスがガクンと落ちてしまうことが現場から報告されています。
特に動物病院様などでは、Mac環境でHoros(またはOsirix)をお使いになられている方も多いと思います。
最近どうもQueryが遅くなったな、と感じる方は一度挑戦してみてもいいかもしれません。

Orthancも標準DBはSQLiteとなっていますが、PostgreSQL Plugin(これもライセンスフリー)を利用することで、データベースを強化することができます。

0)立ち上げてみる
フォルダ内のstartOrthanc.commandをダブルクリックしてみてください。
そこからブラウザを立ち上げlocalhost:8042と打って、以下の画面になればとりあえずは成功です。
DICOMサーバーを起動させるのに、これだけというのは素晴らしいです。

現状はSQLiteで稼働しているので、これをPostgreSQLに変更します。
確認できたら、アクティビティモニタでOrthancを強制終了してください。

1)PostgreSQLのインストール
こちらよりMac用のファイルをダウンロードし、インストールしてください(インストールが面倒な方はappでいいと思います)。

2)config設定(Plugin)
OSXの場合、PostgreSQL Pluginは最初からフォルダに含まれています。
PostgreSQLをインストール後、こちらに従ってconfigOSX.jsonに設定を追加するだけです。
但し、こちらによると、Storage PostgreSQL pluginは保存時に画像サイズが40%も大きくなってしまうそうです。
また、DICOMファイルの保存先が任意で指定できずバックアップや移行の際に大変不便です。よって、今回はINDEXだけを指定するようにしました。

3)DB作成
先程編集したconfigOSX.jsonの内容に沿って、PostgreSQLにDBを追加します。

“Database” : “orthanc”,
“Username” : “orthanc”,
“Password” : “orthanc”

まず、アプリケーションよりPostgeSQLを起動してください。

重い、落ちると評判は悪いですが、pgAdminが直感的で解りやすいと思います。
DBだけでなく、ユーザーを作るのも忘れないように。

4)Orthancの起動
無事設定が終わったら、念のためDBをリスタートして、startOrthanc.commandを実行してください。0)と同じ画面が立ち上がってきたら成功です。
画面左上の「Plugins」をクリックすると、「postgresql-index」が表示されているはずです(Storageも入れている方は、それもあります)。

5)config設定(DICOM接続)
OrthancはDICOM接続設定をモダリティだけでなく、接続するビューワーも追加しないといけません。このときに注意が必要です。
やはりconfigの追加設定を行うのですが、

“Osirix” : [ “Osirix”, “localhost”, 11112, “Generic” ]

こんな感じで最後に”Generic”オプションを追加しないとHorosからQueryをかけても返ってきませんでした。
設定したのにECHOが通らないという方はお試しください。
設定を変更したら、必ずアクティビティモニタから強制終了してソフトを再起動しましょう。

補足)DICOM画像のインポート
こちら記載の通り、既存画像のフォルダ一括インポートもできるのですが、HomeBrewからのPython3のインストール→pyenvのインストール→pvファイル作成および実行と、ターミナルやコマンドに不慣れな方には少々敷居が高いかもしれません。
Googleで検索しながらやればできないことも無いのですが、ちょっと難しそうだという方は、ブラウザでのインポートを行ってください。
ただし、そもそも取り込みエラーの恐れがあること、またファイル単位でのインポートとなり、サブディレクトリに別れていたりするとかなり大変な作業になります。

こちらでもブラウザインポートが紹介されています。

当社ではこれらの導入および保守も行っております。ご自身で行うのは難しそうだという方、ご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。

Orthanc

http://www.orthanc-server.com/index.php

Horos

https://www.horosproject.org/

PostgreSQL

https://www.postgresql.org/

技術情報カテゴリーの記事